ショパン演奏
〜ポロネーズ〜
 
ここではショパンのポロネーズを僕自身の演奏でお届けします。

ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op.26-1
演奏時間 7' 08'' 難易度7 おすすめ度8

「ポロネーズ第1番」という番号が与えられていますが、ショパンは少年時代から習作のポロネーズを数曲手がけていたので、 この曲はショパンの初ポロネーズではないということは、皆さんもよく知っていると思います。 曲の構成は複合三部形式で、主部は嬰ハ短調のリズミカルな序奏と憂鬱な旋律からなる部分と、シンコペーションのリズムと 急速な上昇アルペジオとからなる部分とに分けられます。中間部(トリオ)は変ニ長調に転調し、瞑想的で優美な旋律が 響き渡りますが、中ほどから徐々に感情が高まりながら、再度変ニ長調の旋律に突入します。この辺りの表現の巧拙が この曲の演奏の良し悪しを左右するポイントではないかと思います。中間部が終わり、主部が再現されると、 コーダもなく突然終わります(女性終止)。この曲は、ポロネーズとしては演奏が易しいこともあり、 ポロネーズ入門用として比較的ポピュラーな曲で、ピアノレッスンでも好んで取り上げられるようです。

ポロネーズ第3番イ長調Op.40-1
演奏時間 4' 06'' 難易度7 おすすめ度8

ショパン名曲集の定番、軍隊ポロネーズです。力強い和音の連続は、まさに「軍隊」の行進を思わせますね。 この曲も、初期のポロネーズ同様、三部形式で書かれていますが、特徴的なのは、中間部(トリオ)も主部と 同じテンポを保ち、力強い和音の連続に終始するところです。従って、この曲は、ショパンらしい繊細な旋律が垣間見える瞬間は 一瞬もない曲です。それでも力強い複雑な和音の連続は、何故か聴く人を惹き付ける魅力があるんですよね。 分厚い9度の和音を一度に押さえられないという人がいますが、実は1指で2つの鍵盤を同時に押さえて弾きます。 (こういう弾き方があるというのはなかなか自分では分かりにくいことですよね)。

ポロネーズ第6番変イ長調Op.53「英雄」
演奏時間 6' 35'' 難易度9 おすすめ度10

ショパンのピアノ曲の中でも「超」が付くほどの人気曲です。 僕より少し上の世代の人たちは「赤い激流」の影響を受けた方も多いとのことです。 今現在もこの曲に憧れてピアノの練習に励んでいる方も多いのではないでしょうか。 確かにこの曲は難しい曲です。まず第1主題に入る前の30秒程度の序奏がいきなり難しいですし、 第1主題も最初は易しいですが、後の3回(中間部前に2回、中間部後の再現で1回)は ある程度の手の大きさが必要になり、曲がりなりにも10度が届くかどうかで難易度が著しく違ってくるのではないかと思います (10度のアルペジオの部分も手が届いた上で分散にするのと、届かない和音を下の音から順に弾いていくのとでは 全く難易度が異なります)。 また有名な中間部の左手のオクターブ連続部も、速く弾くのが難しい部分です。 左手の完全脱力が重要ですが、脱力していても疲れることは疲れるので、腕力や体力がない方には厳しい部分です。 インターネット上ではこの曲の難易度を過大評価している人が多いような気がしますが、 僕自身、この曲の名演奏になかなか巡り合えていない(今のところ一番のお気に入りは1985年ショパンコンクール第2次予選の ブーニンの演奏です)ことから考えると、やはりこの曲は難しい曲なのだと思います。

ポロネーズ第7番変イ長調Op.61
演奏時間 12' 01'' 難易度9 おすすめ度9

ピアノ独奏曲としては、ショパン最後の大曲です。「幻想ポロネーズ」という標題で統一されていますが、英語表記では 'POLONAISE-FANTASIE'となっており、直訳すれば、「ポロネーズ風幻想曲」とでも言うのでしょうか?? 確かにこのポロネーズは、それまでの3部形式の典型的ポロネーズとは違って、特定の形式を持たず、 極めて自由に書かれており、色々な楽想が現れては消えていきます。その意味で音楽的に非常に難解な曲と言えます。 同時代の作曲家フランツ・リストはこの曲を初めて聴いたとき、非常に驚いたそうで、 「ショパンもついに気がおかしくなったか」という意味のことを言ったそうです。 技術的には部分的には最上級の技巧は要求されず、その意味では1つ1つ手に馴染ませていくというなし崩し的な練習法で ものにすることができる曲ですが、長い曲である分、難易度は上がります。

ポロネーズで今後アップ予定の曲
ポロネーズ第2番変ホ短調Op.26-2 難易度7 おすすめ度7
ポロネーズ第4番ハ短調Op.40-2 難易度7 おすすめ度7
ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op.44 難易度9 おすすめ度9
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズOp.22 難易度9 おすすめ度10