ショパン演奏
〜スクリャービン〜
 
エチュード嬰ハ短調Op.2-1
演奏時間 2' 43'', 録音日:2013/4/21, 難易度 30

スクリャービンが何と14歳の時の作品です。憂鬱な中にも何ともやるせない思いが込められているかと思えば その一方で諦念がよぎり、中間部は長調には転調して憂鬱ながらも柔らかな光が差し込んでくるようで 同じ音型が繰り返されるときはさらに柔らかく優しく、という無限のニュアンスと深さが音に込められています。 この中間部は最後に元の調である嬰ハ短調になって再現され、こちらは中間部の「柔らかな光」が「絶望」に変わっています。 こんなものすごく「深い」音楽が、弱冠14歳の少年によって書かれたという事実に驚きを禁じることができないです。 ある意味、ショパンよりも早熟な天才ではないでしょうか?凡人の僕が言うのもおこがましいようですが、 「とてつもない天才」というよりほかないです。なお、この曲は「エチュード」という名が付いていますが、 技術的には易しい曲です。技術的な課題としては和音に埋もれそうになってしまう主旋律を引き立たせることと 和音1つ1つの音量、音色のバランスを整えること、左手の遅い連打のコントロールだと思います。 僕自身、2010年8月以来、演奏公開を長期間休んでいて、ブランク明けの久々のアップです。 この曲がその記念すべき再開の1曲になりました。

エチュード嬰ヘ短調Op.8-2
演奏時間 1' 44'', 難易度 40

左3連符、右5連符を基調とした複合リズム(クロスリズム)の練習曲です。右手は5連符、6連符、左手は3連符、16分音符などに 変化し、本当に右と左のリズムがバラバラで、しかもテンポルバートを多様しなければ音楽として成り立たない曲なので、 ピアノを弾き慣れている人でないと自然な演奏をするのが非常に難しい曲ではないかと思います。 スクリャービンはこのようなクロスリズムを多用する傾向があったようです。 短い曲ですが、中間部のドラマティックな展開は、聴く人を強く弾きつける魅力があって、個人的には好きな曲です。

エチュード変イ長調Op.8-8
演奏時間 3' 24'', 難易度 40

速度表示はLentoで非常にテンポが遅く抒情的で美しい曲です。臨時記号が割合的に多く、和音の配列を覚えるのに 多少時間がかかりますが、技術的には易しい曲なので、根気さえあればものにしやすい曲ではないかと思います。 技術的な課題のメインは、主部の再現部で現れるクロスリズムです。右手の中だけで8分音符と3連符を弾き分ける音型が 多少弾きにくいです。

エチュード嬰ニ短調Op.8-12
演奏時間 2' 29'', 難易度 70

スクリャービンのエチュードの中ではこの曲の人気が特に高いようです。右手は基本的にオクターブで動き回り、 左手には10度や11度が現れ、しかもかなり広い音域で目まぐるしく動き回り、跳躍します。 これだけオクターブ、跳躍が多いということはそれだけミスする危険箇所が多いということです。 暗譜も厄介ですし、意外な難曲です。

エチュード嬰ハ短調Op.42-5
演奏時間 3' 15'', 難易度 90

スクリャービンのエチュードの中では恐らく最高傑作です。 調性不安定で左手も右手も目まぐるしく動き回る中で途中右手のパッセージの中に和音が登場するなど、 いかにもエチュードらしい難関が随所にあります。 曲中2回現れる破滅的で美しい旋律部(1度目:ロ長調→嬰ト短調、2度目:ホ長調→嬰ハ短調)の特に2度目が 個人的にはこの曲の一番好きなところですが、ここも左手の伴奏型が広い音域に渡っている一方、右手の旋律部も小刻みに動いていて、 せっかく美しい部分なのに弾く方にうっとりする余裕がないのが演奏者の泣き所というか、 こういう厄介で危ういところがいかにもスクリャービンらしいとも言えます。 アクションの良くないピアノではこの辺りが妥協点でしょうか。

※スクリャービンで今後アップ予定の作品
エチュードロ長調Op.8-4
エチュードホ長調Op.8-5
エチュードイ長調Op.8-6